「獅紋とどうこうなることは望んでない。何もしないし、何も期待してないから、同行者がいて困るかどうかで決めて」
「……黒塚にとって、あまりいいことじゃない。李璃を捜しに行くんだ」
「そう。それなら最後まで付き合う」
淡々と返答すると、來樺院獅紋は眉を顰める。
それから溜息を吐いて、「分かった」と私の同行を許可した。
來樺院獅紋の休日は、行方不明の婚約者捜しに費やされるようだ。
どんなことをするのか横で眺めていると、彼はまず人通りの少ない場所に向かって、リアルタッチのカラー似顔絵を人に見せていた。
「すみません、人を捜しているのですか。高校生くらいの、こんな顔をした女の子を見かけませんでしたか?」
「うーん、見てないな」



