身を固くすると、肩に重みがかかる。
先程までより、もっと近くで翠笑の声がした。
「僕達はもう、戻れないんだよ。沢山沢山殺してきた。これからも、殺し続ける。中には罪なんて無い人もいるかもしれない」
「……っ」
「それでも、ね。殺さなきゃいけないんだ。僕達は殺し屋だから。振り返っちゃダメだよ。獅紋に惑わされちゃダメ」
胸が苦しい。
翠笑の言葉が、心に刺さる。
でも、それ以上に。
翠笑にそんなことを言わせているのが、辛かった。
「ごめん……ごめんね、翠笑……」
「大丈夫だよ。優しい氷霞ちゃん。僕が何回でも慰めてあげる。だから、任務の時は何も考えないで」
「うん……」
私を抱き締める翠笑の腕に触れて、目を瞑る。
迷っていたらダメ。
許されないことでも、それが私の生きる道だと、殺し屋になると決めた時覚悟したのだから。



