真っ直ぐ來樺院獅紋を見て、少ない知識で嘘を繕うと、緑の瞳は驚いたように大きく開いた。
今の時点では、全く相手にされないはず。
來樺院獅紋は婚約者のことを忘れていないから。
あっさり断られるだろうと思っていると、來樺院獅紋は目元を手で覆った。
「どうして、重なるんだ……」
それは近い距離にいる私でさえ、ギリギリ聞き取れる程度の小さい声。
その呟きの意味するところは、すぐに想像できた。
初対面の時のように、私が白蓬李璃に見えたのだろう。
予想していなかった成果だ。
私は右手を地面について、來樺院獅紋に体を近付けた。
「獅紋?」
「……すまない。俺は……」
「白蓬李璃が好き、でしょ。知ってる。告白じゃないから、気にしなくていい」
本来は疑いを晴らす為の嘘だ。
ここで答えを出されても困る。



