白の姫に差し伸べられた、光と闇の手




「分かった」


「いい子だ。期待してるぞ」


「……うん」




甘い声が麻薬のように脳に浸透して、うっとりする。

ボスの為なら、何でもできる。




「あー……あのさぁ、ボス。本気?」


「依頼された相手を殺す。それが殺し屋だろう? ……出来ないのか?」


「……いや、うん。分かったよ。サポートする」


「それでこそ俺の息子だ。期待してるぞ。氷霞(ひょうか)を支えてやれ」




ボスはくしゃりと翠笑(すいしょう)の頭を撫でた。


翠笑の顔は嘘くさい笑顔が貼り付いたままだったけど、その様子は明らかに……。




「氷霞には今年度中さくら魔法学園に通ってもらう。あそこは全寮制だから荷物を纏めておけ」


「荷造りは僕が手伝ってあげるよ。頼れるサポート役に何でも聞いてね~」


「……うん」


「学園で使う名前は黒塚(くろづか)瑠璃(るり)。髪は黒に染めておけ。属性は火と風のみ使うこと」