「どうして? 故意に攻撃的な魔法を使っておきながら、よく言う。ご存知ありませんか、先輩。傷害は立派な犯罪ですよ」
「僕は仕返しをしただけだ! 犯罪なんて、あいつの方がいっぱい犯してる!」
冷静さを完全に失っているようだけど、その訴えは胸に響く。
もし彼が殺し屋に依頼をしていたなら、私は何の迷いもなく、制服を着崩した男子生徒を殺すだろう。
しかし、來樺院獅紋は――……。
「相手が誰かじゃない。あなたが何をしたかが問題なんだ」
キッパリとした冷たい声。
それは私の胸を抉るように、深く深く刺さった。
ターゲットは死を望まれるような存在だから。
そうやって、殺しを正当化してきた私の根幹を揺るがすような、潔癖の正義。
あぁ。
体の芯が、冷たい……。