白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



翠笑は素知らぬ顔で口を挟む。

実に白々しい。


私は隣の男子に呆れながらも、來樺院獅紋がどうするつもりなのか、じっと観察した。


來樺院の名を聞いた男子生徒2人は若干落ち着きを取り戻したのか、お互いに敵意を持ちながらも、素直に喋り始める。




「こいつがいきなり魔法を使って俺を吹っ飛ばしやがったんだ」


「ぼ、僕は悪くない、お前が僕の財布を奪おうとするから!」


「近くで見ていた方は? 主観を省いた事実だけお願いします」




來樺院獅紋は両者の言い分を聞いて、周囲の野次馬に尋ねた。

ほとんどは近くの人と顔を見合わせてヒソヒソ話すだけだったけど、中から1人の生徒が手を挙げて証言する。




「確かに右の方が左の方から何かを取り上げていました。その直後に、左の方が魔法で右の方を攻撃して……」