そんなことを胸に刻んで生きていけるほど、私は強くない。
だから、ボスに拾われる前のことは思い出したくないし、考えたくないのだ。
芹羽港泰は同情するわけでもなく、「なるほど」とあっさり返した。
「……無遠慮に聞いて、すまなかった」
「獅紋に別の意図があったのは分かってるから、もういい」
素直に謝る來樺院獅紋に言葉を返し、運ばれてきた食事に手を付けようとすると、背後の方でガタガタンッと大きな物音がした。
「うわ~、何だろう」
「争っているみたいですね……」
「あ~あ、これじゃ食事はお預けだな」
「……獅紋? どこに行くの?」
私と胡桃は振り返り、翠笑と芹羽港泰は呑気にコメントする。



