白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



断る選択肢なんて無いから、内容を聞く前に私も翠笑も頷いた。

ボスもそれが当然と言うように話を続ける。




「ターゲットはさくら魔法学園4年Sクラスの來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)だ。1ヶ月以内に恋仲になって殺せ」


「へ? 獅紋?」


「恋仲に……」




魔法学園の4年生ということは、15歳か16歳。私達と同い年だ。

同年代のターゲットというのも初めてだし、恋仲になれなんて指令も初めて。


それも、1ヶ月という短い期間で……。




「……自信が無い」


「大丈夫だ。できない仕事はやらせない。氷霞(ひょうか)なら、顔で釣れる」




ボスは私の頬に触れて、艶のある声で言い切った。


“自分の長所と短所は正しく認識しろ”とボスに言われているから、私の容姿が整っていることは自分でも認識している。

人に好かれるような愛想が無いのも事実なのだけど、ボスができると言うなら、やるしかない。