柔らかな緑に彩られた丘。

体の大きな少年は、草の上に腰を下ろしたまま、右の手のひらを青い空に向ける。




『魔法には色んな属性があるのは知ってるよね? 誰がどんな属性を使えるか……それはあらかじめ決まっていないんだ』




少年の両隣には、より幼い少年と少女が座り、手のひらの上に現れた、ぼうっと燃える火の玉に視線を釘付けにしていた。




『必要なのは、属性への理解とイメージ。どうして火は燃えるのか、どうして火は明るいのか、どうして火は熱いのか。そして、火はどんなことに使えるのか』




火の玉が消えると、次はたぷたぷと揺れる水の玉が現れる。




『火と水は相容れない。火魔法が得意な人は、水魔法が苦手なことが多いんだ。それは全く異なる属性を理解しきれないから』




水の玉が消えた手のひらに、体の大きな少年は地面から摘んだ草を置く。

すると、それは宙をくるくると回り始めた。