「――あの、先輩。美容院のお金……」
「いつものお礼。おいしいお弁当ごちそうになってるから」
先輩に連れて来られたのは美容院だった。美容院では、あれよあれよと言う前に髪のケアをされてカットされて桐野先輩とは違う別人が出来上がってしまった。彼らは着せ替え人形をするのが好きなのだろうか。
「そうだ、これ渡してなかった。先に渡しておくね」
紙袋を差し出すとそこには見たことない朝森先輩たちと同じ色のグレーのジャケットにボウタイのピンクのリボンにスカートはグレーとピンクのチェックプリーツスカートで裾にフリルが付いているなんとも可愛らしいデザインの制服だ。
「これは?」
「さっき取りに行ってきたんだ。生徒会の姫だけが着ることができる制服だよ」
「えぇ! 制服も違うんですか?」
「うん。あの学校の生徒会は特別だから姫はもっと特別。だから、なりたい子がいっぱいいるんだよ」
確かに、こんな可愛い服なら姫になりたくなるかもしれない。可愛いけど、私なんかに似合うんだろうか?
「持ってくる荷物多くなっちゃうし俺が寮に置いておくね。家まで送るよ、ご両親にも説明しなきゃだから」
朝森先輩はそう言うと私の案内で家に向かった。家に帰宅すればお母さんがパートから帰ってきた頃だったから一緒に家の中に入った。