「おはよう〜」

「おはよ」


 朝の教室は挨拶で飛び交っている。それはお約束だ。だが、私はそんな中に入れるわけもなく……一人席に着く。

 私、桃瀬依茉は今年高校に入学した一年生。白のブラウスにベージュのジャケット、茶色とピンクベージュのチェックのスカートを履いてスカートと同じ色のリボンをつけている。規定通りの制服の着こなしにすでに“優等生”だなんて言われてしまっていた。
 いいのか悪いのかこのクラスは、皆がキャピキャピしているからか私が地味だからか話しかけられることはなかった。
 きっと優等生なら本を出して読むんだろう、それとも参考書をだして勉強かもしれない。

 だけど私はザ優等生っていうのではないからスマホのロック解除をしてSNSを見ていれば担任の先生が入ってきたのでスマホの電源を切ってカバンに入れた。

 担任の先生が今日の連絡事項を淡々と話していると外がなんだか騒がしい。


「今、二年生が体育だって」

「え〜じゃあ、生徒会メンバーがいるかもってこと?」

「絶対そうでしょ。だって、あそこ女子が集まってんもん」

「いいなぁ、二年生は有利じゃん。きっと二年から決まるんじゃない? 姫」


 生徒会は、まぁ普通だったら全校生徒をまとめる役員だがこの高校は違う。生徒会とは、神聖な場所で選ばれた者でしか入ることは許されない特別な存在だ。特別な存在だとメンバーにも自覚させるため、生徒会だけは特別寮に入寮することが決まっている。

 そして、みんなが口々に言っている『姫』とは生徒会メンバーが一人だけ選ぶことができる女の子のことだ。本当なら生徒会が始まった時点で姫が決まるのだが、今だに決まっていない。だから女子生徒は自分が選ばれたいとキャッキャしているのだ。