「みあはいつまで僕を春日井くんって呼ぶの?」



それ,は……

今までもそれとなく催促されたことはある。

だけど…



「だって,恥ずかしい」



きゅっと春日井くんの胸に顔をうずめて訴えると,春日井くんはため息をつく。



「そんなふうにしてもだめ」



そんなふうって?



「家には簡単に来るくせに」



そんなボソッと拗ねた声も聞こえる。



顔をあげると,春日井くんは感情を押し殺したような無表情でこう言いはなった。



「みあが白翔って呼んでくれないなら,僕も今川さんって呼ぶから」

「そんなっ」

「ほら,嫌ならどうするの?」

「ぇ,でも……うっ…は,はくと…くん」



じっと私を見つめる綺麗な瞳と顔。

そんなものに陥落した私は,声を絞り出した。



「ん。合格。いいこ」



白翔くんはこれ以上ないくらい甘く微笑んで,私の頭を撫でる。

いいこって…同い年の彼女に言う言葉じゃない…

でも,それすらも似合ってしまうのが白翔くんだ。