今川さんの事を考えながら,僕は無意識に急いで片付けを終えて,早足で校舎裏に向かった。



『あっ今……』

『震えないように,頑張って,私。少しだけでいいから……分かってるでしょ,それでも言うんでしょ』



今川さんは壁にもたれ掛かって,恐らく顔を真っ青にさせながらぶつぶつと自分に声をかけていた。



『今川さん』



僕は落ち着いた声で声をかける。



『ふぇっ!? あ,春日井くん…』

 
振り返った今川さんは唇を震わせて,目には涙をためていた。

それだけで今川さんの勇気と覚悟が伝わってきて,僕は思わず喉を鳴らした。

今川さんは1度俯いて,それでもしっかりしなきゃとでも言うように僕の目をしっかりと見上げる。



『あの……呼び出してすみません。でもっ3分で終わらせるので…!』

『うん』



自分が迷惑をかけていると思っているのか,今川さんは申し訳なさそうな顔をする。

時間をとられるし,一々移動しなきゃいけなくなるし,そりゃあ僕だって迷惑だと感じるときはある。

だけど,こんなに必死に僕の事を見て,考えてくれる今川さんに,そんな感情は起きなかった。



『好き……なんです』



ついにその言葉を発した。

今まで何回も聞いてきたはずなのに,僕は動揺した。

頬を真っ赤に染めて,どこか泣きそうな顔をした今川さん。

言わなきゃと口を開こうとして,今川さんに遮られる。