颯だって顔を背けるように耐えてるし…ねぇいいの?

私たちS.Roberの頼れるナンバー1だよ?



「あーー!身体が勝手に動くーー!!」


「……ミオ、」



ドンッと、黒マスクのそいつへ体当たり。

かろうじて離れてくれたけど、やっぱりさっちゃんは呆然としてる。



「わぁ、ごめんなさーい手まで勝手に動いちゃってーーー」



グイッ、ドンッ!

もう出来る限りのことを棒読みでおこなった。


周りの生徒は「誰に手を出してんだあいつ」と言うみたいにあわあわしてるし、颯だって怯えてるけど。



「おまえはさ、はやく俺たちに借金返してくんない?カシラが怒ってるから」


「やだねーだっ!!10日で5割とかあんなの詐欺すぎるってばっ!滅びろヤクザっ」


「母親は出てって父親犯罪者だっけ?やばいね、お前んとこ」


「うるせっ!颯っ!なにしてんのはやく荷物持ってきて!!」



ハッとするように、颯は言うとおりにしてくれる。


ただうつむいて立ち尽くす彼の空に月は見えなくて。


それはもう真っ暗。

青く照らしてくれるライトすらない、恐ろしいくらいの暗い夜が広がっているように見えた。