「廊下は走るとこうなるんでね、覚えておいて」
「ごっ、ごめんなさい!」
「トイレならこの先に空いてるとこあるよ」
「え、本当ですか!ありがとうございます…!!」
ラッキーな情報にバッと頭を下げた。
良かったぁぁっ!助かった……!!
「漏らさないように気をつけてね、オジョーサン」
「あっ、はいっ」
グレーアッシュのヘアカラーに黒マスク、キラッと覗く十字架をしたピアス。
ハッキリ顔立ちを見る前にはスタスタ戻って行ってしまって、だけど新入生ではないただならぬ空気があって。
ぞくっと、なぜか分からないけど身体がふるえた。
「………え、……お、じょう…さん…?」
まって、言ったよね……?
いまの人、ぶつかった黒マスク先輩、確かにそう言ったよね……?
「……うそ、……初日でバレ……た?」
いやいや気のせいだ、そうに決まってる。
ほら女の子に見えたからからかってるとか、そーいうのたまにあるって颯も言ってたし…。
「大丈夫大丈夫っ!わりと男の子に見えるよ澪っ!!」
無事に事なきを得た鏡の前、不安をぬぐいさるように繰り返す。



