「そ、そう?じゃあこのままにする!」
「でも一人称は、“僕”だとナメられるだろうから“俺”にしよう」
……あ、なんかさっちゃんが“俺”って言ったみたいでドキッとした。
たまにはそーいうのもアリだと思うなぁ。
「…うん。ありがとう、さっちゃん」
こうして家を作ってくれたことだって、新しい仲間に出会わせてくれたことだって、スマホだって。
この人には感謝しかなくて、それと同時に今日あの婚約者さんを見たとき。
少し、ちょっとだけ怖かった。
私の居場所が奪われてしまうんじゃないかって。
でも、そうじゃなかった。
「さっちゃんの弟も、高校生になってたらこんな感じだったのかもしれないね」
「…そうだね」
弟さんのこと、いつか話してくれるときがきたなら。
私は知りたいって思う。
α9のことだって、なにより一番は鹿野 皐月という人間のことをもっと知りたい。
「さっちゃん!ほら!肩貸してっ」
「え、肩…?こう?」
「うん!」
向かい合うように、お互いの肩に回しあった手。
ちょっと寂しくて物足りない円陣の完成だ。
「よーし!お前ら!!明日からも気張っていくぞ!ファイトーーー、おーーーっ!!!」
「………え、これって2人でやるもんなの?」
この街は、観羅伎町は。
勇気を出して蓋を開けてみれば、案外知らなかったことをたくさん発見できる街───。



