「もう下ろしてくれて大丈夫!歩けるし走れるよ!」
「だめ。屋上だし、落ちそうで怖いもんミオ」
いや、そんな子供じゃないってば。
さすがにそれは危ないって分かるし、フェンスは確かにないけど落ちるわけがない。
背中から降りようとすればするほど、ぎゅっと離してくれないけど……まぁいいか。
「見て!月が青色してるっ!!」
「ブルームーンだね」
「ブルームーン!あ!周りも青くなって、空まで青く見えるよっ」
青い夜だ。
青って幻想的な色だなぁって、私はすき。
「…弟も同じこと言ってたな」
青い夜に溶けてはくれなかった言葉は、すごく寂しくて切なくて。
無意識にも聞こえないふりをしてしまった。
「この街の窃盗団はS.Roberだけじゃない」
「え…?」
「α9(アルファナイン)っていう、ずっとずっと強力な窃盗団が僕らの上にいる」
彼は遠くを見つめていた。
スッと通った鼻筋、薄い唇に、少しつり上がった眉と反比例する優しい目が魅力的で。
α9……。
その集団は彼と何かしらの関わりがあるんだろうなって、その顔を見てしまえば分かる。
「───…前はおなじだったのにな…」
どこで間違えちゃったんだろ、と。
それは聞こえないふりをすることは無理そうだった。



