「そっか、ベッド1つしかないか。キングサイズだから問題ないと思ってたんだけど…」



チラッと申し訳なさそうに見つめられる。

未だに私が女だと見破れなかったことをどこか根に持ってしまっているらしい。



「さすがに嫌だよね、見ず知らずの男と並んで寝るってのは」


「えっ、いや、そーいうわけでも…なく」



嫌というか、複雑でして。

そりゃあ15歳で年頃って言われればそうなんだろうけど、なにしろ私は男の子に面識がなくて。


一人っ子だったし、彼氏とかも居るわけないし居たこともない。

なによりさっちゃん、けっこう普通にそれなりにかなりイケメンの部類に入ると思うし…。



「でも平気、僕の活動時間は大体が夜~深夜にかけてだから。今だって大人しくベッドで朝を迎えることの方が珍しいんだ」


「そうなの…?」


「うん。だからベッドはミオが使ってよ。僕は自分の部屋でも寝れるし」



そこでも大人しく頷いておく。

すると今度さっちゃんはガサゴソと私物を漁ると、それを私に差し出してきた。


───そう、万札が5枚ほど。