私が身を乗り出したことでパソコン画面が揺れるけど、今はもうそれどころじゃない。


五十嵐 侑李だ。

間違いなくボロボロな姿の彼が画面の中にいた。



「今すぐいこうさっちゃん…!!場所を知ってるなら早く!!」


「落ち着いてミオ」


「落ち着いてられないって…!!だってこのまま放っておいたら…っ」


「澪。」


「っ…、」



どうしてそんなに穏やかな顔をしてるの。
さっちゃんが消えちゃうような気がした。

彼がいま考えていることを分かってしまうようになった自分が今は嫌だ。



『おーーい、見えてるかァ?サツキくーーん?』



すると、鉄パイプに金属バットを持ったスーツ姿の男たちがタバコを咥えながら現れて。

配信カメラに手を振って、さっちゃんの名前を呼んで、そして向かってゆく。


ダメ、そんなのぜったいだめ…。



「や…めろ、」



さっちゃんの言葉を掻き消す鈍い音が響いて、割れた音になって私たちのところにも届いてくる。

5、6人の男たちは横たわる高校生へ次から次に加えていって。


もう咳き込む音さえ聞こえてこない。

下手したら、もしかしたらとっくに息をしてないんじゃないかって。