「これが藪島組から送られてきた動画だ」



蘭さんが愛用している最新機種の薄型ノートパソコン。

その画面には薄暗い倉庫が映っていて、よく目を凝らして見ないとぼやけて見えるほどの画質。



「ここ…って、」



なにかに気づいたさっちゃんの声は震えていた。

ぶわっと変わった空気感。
圧迫してくる緊張感。



「あぁ、───…睦月が殺された倉庫だ」


「っ…!!」



どうしてそんな映像がS.Roberの元に送られてくるの。

これは藪島組からさっちゃんに対する何かの挑発…?

それとも当て付け…?



「俺たちにだけ配信されてる」


「───蘭くん!…ここ、ズームにして」


「わかった」



さっちゃんのすこし焦ったような声。

言われたとおりスクショを撮ってズームした先に、誰かが横たわってるような気がした。



「…うそ、」



アッシュグレー、キラッと光るピアス。

そこに血だらけで寝転がるのは、10日近く学校に来ていなかった花ノ宮高等学校の3年生だった。



「息してる…!?死んじゃうよさっちゃん…!!はやく助けないと…っ」