五十嵐って、たぶんパイセンのことで間違いないはずだ。



「学校に来てないんですか…?」


「佐久間、お腹の調子はどうだい?」


「あ、もうちょっと…」



せめて数学が終わるまでは。

もぞっと布団にもぐれば、そこは疑われてはいないらしく。


机に顔を落とした保険医は続けた。



「もう10日近くになるわ。担任が電話かけても五十嵐は親御さんとは一緒に住んでないらしくてね」


「え、それ事故に遭ったりしてたらヤバくないですか」


「五十嵐に限ってそれはないと思うけど。だけど…まぁ一応、鹿野にも聞いてみるか」



あそこは親伝いで仲良かったらしいから───って言ってるけど、今はバチバチスズメバチなんだよ先生。


だけど私はぜったい戻れると思う。

だってあの2人、お互いがお互いを嫌いあってないもん。


素直じゃない思春期真っ盛りとでも言おうか。

ねぇ君もそう思うでしょ?って、青空へと心の中で聞いておく。



「皐月…!!」



その日の夜だった。


珍しかった、いや珍しいとかのレベルじゃない。

はぁはぁと息を乱しながらS.Robreのナンバー1宅へ走って向かってきたナンバー2は。