「じゃあ、問4を───佐久間」


「うえっ!?」


「なんだ聞いてなかったのか」



はい聞いてませんでした、ガッツリ寝てました。

逆に見えてませんでした?
だって私の席、一番前ですよね…?



「えっとぉ…あっ、いたたたたっ…!」


「ん…?どうした佐久間」


「お腹いたいっす…、あ、駄目だわこれ死にますねもう」


「おい、さく───」



シュタッ!スタスタスタ。

ガラガラガラ───ピシャン。


ダダダダダダダダッッ!!!!



「あいつ…!!元気じゃないか…!!」


「ぎゃははっ!!仮病確定~!!」



教師とクラスメイトの声を背に、走るべし。


ひとつ問題を答えられなかっただけで強制的に補習授業へ行かせられるという、とんでもない高校が花ノ宮。

だからいざというときは具合が悪いふりをすればいいよ───と、生徒会長からの温かいお言葉。


それで授業で分からないところがあったら特別レッスンで教えてくれると。

……想像してはボンッ!!と、爆発。



「今日も五十嵐は欠席か…。大丈夫かあいつ、登校日数足りなくて留年するんじゃないか…?」



保険医から出るため息9割のつぶやきに、仮病の私は思わずベッドから顔を出した。