すこし酸素を与えられたかと思ったら、また重ねてくる。

さっちゃんらしくない強引さで、それ以上の唇の柔らかさと甘さにからだは溺れかかっていた。



「死ぬ…っ、死んじゃうって…っ!!」


「…どんな感じに?」


「し、心臓ぱーんって…!あと窒息で…っ」


「ふっ、それ可愛すぎない?聞いた僕が馬鹿だった」


「んん…っ!!」



つり気味の眉とか、反比例するような垂れ目はあっさりしてるのに切れ長なところとか。

長い睫毛とか、形が良すぎる鼻筋とか、生徒会長のわりにはライトブラウンな髪とか。

さっちゃんだ、それが私の大好きな鹿野 皐月だ。


何よりあなたも私のことが好きなんだ───…。


そう自惚れてしまうようなキスが何度も何度も繰り返された。



「……もう…、ちゅーしちゃったよ…、」



むすっと可愛くない反応をしてしまえば、コツンとおでこをくっつけたさっちゃんは嬉しそうに笑った。

涙をひとつひとつ受け入れてくれるように唇でぬぐって、また甘く合わせられて。



「こんなの好きにならない方がありえないって」


「い、いつから…?」


「さぁ?いつだろうね、」


「ふっ…、んっ、」



それは自分本意、わりと自分勝手なキスだと思った。

喋りたいときに喋って、私はその隙に酸素を吸い込むのでいっぱいいっぱいなのに、それを待ってはくれなくて。