「鹿野さん、非行に走る少年少女を助ける仕事とか…されてるんですか」
「ははっ、なにそれ」
「だってまさかこの街に…こんな優しい人がいるとは思ってなかったから…」
「僕は意外と危ないよ、きっと」
うん、そんな感じはする。
顔隠して逃げてたくらいなんだから、正統派ではない気がする。
だけど私が言っているのは中身の話。
人間性の話だ。
「ただ───…ミオと同い歳の弟がね、いたんだ」
「…弟、」
「まぁ生きてたら、ね」
ここは掘り下げない。
この賑やかな繁華街に溶けそうで溶けてくれない、孤独な言葉。
「そいつも女の子みたいな顔して、いつもナメられてるようなやつだったからさ…重なっちゃったみたい」
………あれ、え、これって。
もしもしお兄さん…?
もしかして私が女だって気づいてない…?
「人間って追い詰められると命すら奪われるんだなーって」
そこまで語って、軽い笑いに変わった。
「まぁもう昔のはなし」と言って、足を進める鹿野 皐月という人。
「よし、到着」



