「なんか面倒なことになっちゃったみたい」



夏休みのとある夜、マンションに集まったメンバー。

ソファーにどっかり座るさっちゃん、覗き込むように囲む私たち。


そして薄型のノートパソコンがくるっと向けられた。



「これ、街の監視カメラの映像ね」



そこは路地裏や屋上。

見慣れたところだと親近感が湧くのは、S.Roberがよく任務で追っ手から撒くために使う場所だから。



「…え、これオレたちっすか!?よく映ってるっすねぇ!」


「よく見て秀平。僕らこんなにアホくさいマスクしてる?」


「……オレたちじゃないっす!!」



そこには誰かを真似したようにパーカー姿で駆け巡る若者たち。

フードを被った者、そうじゃない者、積まれたビール瓶ケースを倒して、ゴミ箱だって同じようにして。


そしてわざと監視カメラに挑発するみたいにピースサインだなんて。

その集団は、ピエロの仮面をしていた。


そう、これは私たちに似ているけれど私たちじゃない。



「ねぇ、これってもしかしてボクたちの名前を使って暴れてたりするんじゃないの…?」


「そう。ご名答だよ颯」