「───僕は鹿野 皐月(かの さつき)。君は?」
「…さくま…みお、です」
そして今に至る───。
結局は男装したところでヤクザにはバレてしまって、逃げたらそれはそれでもっと怖いことになって。
なんとか撒いて路地裏にうずくまっていたところを、運良く助けられまして。
「ミオ、ね。何歳?」
「…15です」
さすがにスマホもないし、お金もそこまで持ってるわけがなく。
そんな中で「生活と安全は保証する」なんて言われてしまえば。
今日だけでもお世話になるしかないと。
「とりあえずこれ着て」
「わ、」
「そしたらこれ巻いて」
「んぶっ」
これからどこへ連れられるんだろう…なんて思いながら路地裏に佇んでいた私に。
鹿野 皐月という男は着ていたジャケットを被せてきた。
それに加えてフェイスマスクまで。
「ヤクザの執着をナメたら痛い目みるよ」
あ、だから少しでもバレないようにしてくれるってことか…。
それにしてもジャケットはブカブカ、フェイスマスクからはふわっと香水のような良い匂いがする。



