だから私はすぐに準備をした。
今まで買ったことないような服を買って、こんなところにお金なんか使いたくないから近くの1000円カット。
「男にしてください!!」
「え、でも女の子ですよね…?」
「いーから男!!いまの時代ジェンダーレスなんかいっぱい居るじゃんっ!!こっちは命が懸かってんですよ…!!」
「は、はい…かしこまりました」
無理やり頼んで、レイヤーが入ったショートヘアに。
ずっと伸ばしてたのに…なんて惜しんでしまった自分に、死ぬよりマシでしょ!!となぐさめる。
そして私は男になった。
目指すはもちろん、人が多い場所。
「観羅伎町……、そこしかない」
それまでなら怖くて絶対に近づきたくもなかったけれど、今はそこしか候補が無かった。
最悪、身分を偽って働けるんじゃないか。
年齢と名前を誤魔化したっていい、というか私はもう義務教育はギリギリ卒業してるし問題ないんじゃないかって。
観羅伎町(かんらぎちょう)───。
風俗、ホスト、キャバクラ、スナック、バー、賭け事、情報。
欲望と光と絶望が混合する街、そこが一番の繁華街だった。