お母さんは、喜び半分、戸惑い半分といった表情で飛鳥井くんの話を聞いていた。 そんな急に……とは、口では言いながらも。 帰る間際になれば「うちのすばるでよければぜひ……」と頭を下げていた。 『今日も、飛鳥井さんのお宅に泊まるんでしょう?』 『もちろん婚約の話は受けるでしょう?』 弾んだお母さんの声を、わたしはどこか遠くで聞いている感覚だった。 . .