おかげで京グループにまつわる不穏な噂は打ち消されて、しばらくは耳に入ってくることもなかった。
──そしてお昼休み。
真凛ちゃんと食堂に来たのはいいものの、わたしは悩んでいた。
龍泉閣から登校したために、お弁当は持ってない。
もしものときのために持たされた千円札でなにかを頼むか。
飛鳥井くんにもらった引換券で大トロ丼を
頼むか。
もしくは……何も食べずに我慢するか。
夕飯と同様、今朝もスーツを着た男の人が朝食を運んできてくれた。
それはそれは美味しくて満足したんだけど、もうすでに胃の中にはなくて。
……お昼まで、もたなさそうだなあ。
「使っちゃいなよ〜大トロ丼の引換券!」



