……引き返そう、かな。


2階に行って、いつの間にか帰ってました感を装って。

夜ごはんは、みんなが食べ終わったあとに、ひとりで食べて……。



「あ、お姉ちゃんだ!」


びく、と肩が震える。

振り向いたみやびに見つかってしまった。



お母さんはこっちを見て、若干慌てたような笑顔を見せる。

お父さんは一瞬たりとも目を合わせようとしない。


いつものこと。



「お姉ちゃん帰ってこないからどっかで食べて来てるんだと思って、私がおかずもらっちゃったよ〜ごめん!」


「っあ、そうなんだ、ぜんぜん食べちゃって大丈夫だよ……!」


「でもちゃんと残してはいるよっ。お母さんのお手製カニクリームコロッケ、今日も絶品だった!」


「わあ、ほんと、美味しそう……」


笑顔をなんとか保って席につく。