そんなのも,あるんだ。 屋台とか,そんな思い出……大してない。 「イカ焼きなんて可愛くないとか気にしないんだな」 弘が茶化すように言う。 「なんでわざわざそういうこと言うわけ? 別に……隠しても仕方ないでしょ」 愛深に張るような見栄,ないし。 頬を染めた愛深口をすぼめて,弘は 「やっぱすげぇな,お前」 そう笑った。 だから,なんなの,その瞳(め)。 緩く細められて,見てるとざわざわする。 「ってか,愛深も行くんだ。唯兎,俺等も会えるかもな」