今日から秘密が始まります……!


朝、自分の部屋を出る前に、ドアノブを握って深呼吸をした。


制服にも着替えたし、ちゃんと手にも持っている。準備は万端だ。


朝から何をこんなにドキドキしているのかと言うと――自分の部屋のドアを開くと同時に、目の前の部屋のドアを開かれて、同じ高校の制服に身を包んだ長身の男子が出てきた。


「あ、おはよ。さゆ」


「晃くんおはよう。……早いね」


「世話になってる身で寝坊なんてできねーよ。……フライパンにおたまのその装備は一体……」


「晃くんの耳元で騒いで起こそうと思って」


「俺もさゆのこと叩き起こそうと思ってた……」


「……必要なかったね」


「……だな」


こくん、と肯き合う。


クラスメイトの晃くん――雪村晃(ゆきむら こう)くんと、一時的ではあるけど同居することになったのです。