翌日、結婚式場の控室にて━︎━︎……。


「小百合、綺麗ね」

「ありがとう、お母さん」

「ほらお父さんも小百合に何か言ったらどうなの? 娘の一生に一度の晴れ舞台なのよ?」


 お母さんとお父さんはウェディングドレスを着た私を見てもう涙目だった。そりゃそうだ、結婚させたくて仕方なかった娘がやっと結婚するんだから。

 三十にもなって結婚しないで仕事ばかりする娘なんて体裁が悪いんだろう。田舎だからなぁ。


「……幸せになるんだぞ」

「うん、幸せになるね。ありがとうお父さん」


挨拶に彼と実家に帰った時は変わらないと思っていたが、今日正装を着ている両親ともに歳を取ったんだなと思ったりする。

 その後は、控室に会社の同僚も来てくれた。「きっと専務も見たら惚れ直すんじゃない?」と言っていて……それはない、と心の中で思った。