「もしかして、木島芭奈ちゃん?」
「えっ、はい。初めまして、ですよね……?」
「うん。そうだね。会ったのは初めてだよ? でも、同じ学校で同学年だしそれになぎがす――」
凪斗くんは何故か彼の口を押さえ、言葉を遮せた。
「あはは、芭奈。こいつ、飛鳥井 悠眞。俺の友人だ」
「凪斗くんのお友達だったんですね。初めまして、芭奈です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくっ」
悠眞くんはニコニコ笑うと手を差し伸べた。これは握手ってことかな……そう思って私も手を出す。
だがそれは叶わなかった。凪斗くんが何故か私と握手をしていて悠眞くんの手をとても綺麗な音を立てて叩いたから。
「……勝手に触るんじゃねぇ」
「じゃあ、芭奈ちゃん握手していい? 仲良しの握手」
「はい、いいですけど……」
凪斗くんがとっても、不機嫌になってしまっている。どうするべきなんだろうか。
「じゃあ、よろしく! そうだ、今日一緒に食べない?凪斗もいるしさぁ」
「あの、モカちゃん……あ、友達も一緒にでもいいですか?」
「うん。全然! 芭奈ちゃんは隣のクラスだよね、迎えに行くよ」
私は頷くと「じゃあ」と言い、彼らよりも先に教室へ向かった。