「――奈ちゃん、芭奈ちゃん!」

「んー……有坂さん?」


 目を擦り時計を見るともう十二時回っている。時計と有坂さんを交互に見ると「おはよう、芭奈ちゃん」と微笑んで言った。


「あっ、有坂さん! すみませんっ」

「え? 謝ることなんてないよ、慣れない場所来て疲れたんだと思うし」


 私、荷解きしてそのまま寝ちゃったのか……うぅ、やってしまった。


「ご飯にするし、一緒においで」

「はい」

「芭奈ちゃんが作って持ってきてくれた煮物、めちゃくちゃ美味かったよ。つまみ食いしちゃった」


 よかったぁ……。

 私はそう思いながら有坂さんと一緒に部屋を出る。