「――芭奈、ちゃんと百花ママと百花パパの言うこと聞くんだよ」

「うん分かってるよ」

「よろしくお伝えしてね? それから……」


 翌日、学校に行く間際同じようなことを何度も何度も繰り返して言われている。現在、五回目……


「荷物は私たちが届けとくから」

「うん、ありがとう。お母さんたちも気をつけて行ってきてね」 

「ありがとう、お土産いっぱい買ってくるからね。楽しみにしてて」


 私は玄関に行き靴を履くとお母さんお父さんに見送られて学校へと向かった。

 家を出ればモカちゃんが待っていて「おはよー」と手を振りながら待っていた。


「今日は早いね、モカちゃん」

「うん。なんだか楽しみだったんだもん! お泊まりとか久しぶりすぎて」

「確かに、そうだね。最後お泊まりしたのは中学生の時だもんね」


 そんなたわいのない話をキャッキャとしながら学校へと向かった。本当に楽しみだった、お泊まりもお土産も……。
 
 それから学校いって、授業受けて、放課後はモカちゃん家に直行して夕食を食べた。
 次の日も同じで何も変わらない日……お母さんたちが帰ってくる日は休日で朝起きたのは十時ごろ。スマホを見ると【今日の十五時には帰るよ】と家族のグループメッセージのトーク画面に送られて来ていて私はウサギのキャラクターが片手を上げて『はーい』と言っているスタンプを送信した。