「お……僕は、白井隼人です」

「知ってます」

「しっ……え、認知されてる?」

「ちがうと思うな」



めちゃめちゃしゃべるじゃんこのひと。だれ? 無口なイケメン、近寄りがたい、告白なんて恐れ多い、って言ってたの。よく通る声でハキハキと怖いじゃんこのひと……だれのせいだよ……。



「そもそも、あの、わたしは製造されたそのときから、かわいいとかそういう成分が原料として含まれていなくてですね」

「そうなんだ。かわいいですね」

「えっ? 怖い」

「かわいいですね」

「そうなんですね……?」



そうなんですねって、何?



「お名前を伺ってもよろしいですか」

「あっ、いや、あ、はい」



かったい敬語になった。もしかしてわたしって取り引き先。