着ているオレンジ色のデイドレスは襟元を飾る大きなリボンが可愛らしく、ティータイムのためにわざわざ着替えた服である。

いつもはナターシャ任せにしているのに、今日はモニカが張り切ってドレスや装飾品を選んだのだ。

モニカははにかむように頬を染めた。

「だって一週間ぶりに陛下に会うんですもの。楽しみだわ」

モニカが攫われたのは一週間前で、大人になった彼を意識して胸を高鳴らせた。

これが恋なのかと乙女心をときめかせているというのに、多忙なシュナイザーとは会えていない。

寂しい一週間でさらに想いは膨らみ、さっきから時計ばかり気にしているのである。

なおも不思議そうなナターシャに、モニカは「あのね」と言いかけて口を押えた。

(危ない。シュナイザーから出自は絶対に秘密にしろって言われたんだ)

彼は貧しい実の両親に売られて修練所に入り、ロストブを脱出してバーヘリダムに来たが頼れる人はいなかった。

行き倒れたところをバンジャマンに助けられたその後は、自分から精霊憑きを買わないかと貴族に近づいたそうだ。