スノー&ドロップス

「茉礼のことが好きだって、告白しようと思う。母さんに」

 突然、落とされた爆弾を理解するのに、数秒かかった。

「ーーやめて! 言わないで」

「なんで?」

「心配かけたくない。悲しませたく……ない」

 想像しただけで、体中が震える。平和だった家族が滅茶苦茶になってしまう。

「じゃあ言わない。その代わり、僕の言うとおりにして」

 私の両手を取って、自分の首へと回す。虚ろな瞳から逃れられないよう。

「否定しないで。僕のこと受け入れて」

 首筋から鎖骨、肩に痕をつけていく。身動きがとれないまま、私の背中は倒れていって。

「安心させてよ。茉礼が遠くへ行かないって、証明してみせて」

 涙ごと呑み込まれる。私のすべてを喰い尽くすまで、離さないつもりだろう。
 何度唇を重ねても、胸の高鳴りは罪悪感でいっぱいで、生きている心地がしない。体中につけられた赤い印は、鶯くんの物だと主張している。

 でもーー、私は鶯くんのことが好きだ。優しくて頼りになって、ずっと一緒にいた鶯くんを嫌いになんてなれない。

 兄であるこの人を、囚われている(おり)から解放してあげたい。