スノー&ドロップス

「GPSアプリはあの時消したはずだけど」

 ゆらりと男たちが迫って来て、背中合わせになった青砥兄に問う。

「最近新しいのを入れて正解だった」

「アンタ、やっぱヤバい奴だね。かなり気色悪いよ」

「君に言われたくないな」

 せーのと呼吸を合わせたかのように、同時に飛び出した。殴りかかろうとして来る相手の胸ぐらを掴み、投げ落とす。後ろでもドタバタと人の倒れる音がした。

 あと二人かと、青砥さんを人質にしている男に近づくと。

「ま、待て、待ってくれ! 俺たち頼まれただけで」

「そうだよ! 話が違うじゃねぇかぁ〜! どうなってんだよ〜クソ!」

 掴んでいた手を離し、青砥さんがよろけた。すかさず体を支えるけど、肩が震えている。相当ショックを受けたのだろう。声を出すこともできず、立っているのがやっとの状態だ。

「あとは僕がする」

 俺の手から青砥さんを奪うと、彼は優しく抱き上げた。

 あの夏、彼女が選んだのは向こうだ。こっちの世界じゃないことは、何度も飲み込んだはずだろう。

 コロンと転がったスマホを拾い上げて、渡そうとしたとき、妙なものが目に入った。ここの地図と指定された日付と場所。スクロールした先には、青砥兄の写真が何枚も続いている。

「なんでアンタまで来るかね。青砥鶯祐」