パン職人の店長を、好きになりました。



「うう……庵さん、貸してください……っ」

「……うん、仕方ないなあ。でも、もう少し抱きしめてたい」


 そう言った庵さんは、結局離してくれずに─︎─︎─︎もう、昼の十三時をすぎていた。


「庵さん……もうこんな時間です」

「んー……いいじゃん。今日は休みだし、今日はダラダラと過ごそう。明日からはバリバリ働いてもらうんだから」

「えっ」

「超忙しいんだから……それと考えたんだけど、パンは担当制にしよう」


 担当制……? っていつ考えたの……。


「俺は週に三回で彩愛がニ回」

「ええっでもそれじゃあ庵さんのパン週二回も食べれないってことじゃん」

「まあ、そうだな。でも勿体無いじゃないか、フランスで修行して来たのに日本ではパン作らずに接客だけってのは……」


 まあ確かにそうなんだけど……でも修行に行ったのは庵さんの役に立ちたかっただけだしなあ。


「一度やってみて合わないなと思えばやめて違うふうにしたらいいよ。パン職人になって、初めて働くんだから」

「そうだね、うん。やってみるよ」

「それに国際大会優勝してる職人がいるなんて評判出るかもだし、さ」


 ご飯を食べながら何を作ればいいか案を出し合いメニューを決めて私は日本でのパン職人として働くことになった。