「ありがとうございます」
「次は二十歳になったら、だね」
二十歳か……もう学校も卒業してる頃だ。私はあのパン屋さんで庵さんと働いてるのかな。
「彩愛ちゃん、提案がある」
「なんですか?」
「彩愛ちゃん、卒業したらあのパン屋ですぐに働かなくていい」
……え、どう言うこと?
「俺は卒業してすぐにパン屋開業をした。それが目標だったから、そのためにお金も貯めていたし……だけど、彩愛ちゃんはまだ若い。もっと広い世界でいろんなものを見た方がいい」
「それって、違うパン屋で修行するってことですか?」
「そうだよ、俺じゃ厳しく教えることできない。どうしても甘やかしてしまう……それは君のためにならないと俺は思う」
庵さんは隣に座り、私の頬に触れた。
「でも、私は……っ」
「うん、俺のこと支えたいって言ってくれて本当に嬉しい。けど、違う場所で学んで沢山吸収してほしい」
「うん……それが庵さんのためになるのなら私は、違う場所で頑張る」
その日から卒業後の就職先を変更のためにパン屋巡りをするようになった。
初めて庵さんじゃないパン屋さんに行って食べて、色々な発見をすることが出来て何を目指したいかが明確になってきた。



