「また恋バナ聞かせてねっ」
「も、もう早くやろうよ!」
急に恥ずかしくなった私は、話を切り替えるように先を歩く。
「彩愛ちゃん照れないでいいじゃーん」
「照れてないからっ!」
実習室に入り、コック服に着替えるとパン生地をミキサーでこねてから丸めや伸ばしの練習する。これがなかなか難しくて……この前も庵さんに教えてもらって、学校でも何回も練習している。
「これいいんじゃない!?」
最近の中で一番上手く出来た気がして、皆で片付けをして実習室からでてフロアに向かうと「彩ちゃんお疲れ」と手を振ってソファに座って待っている庵さんがいたので友達を置いて彼に駆け寄った。
でもどうして庵さんが……それにお店は?
「今日は店休みだし、久しぶりに母校に来たかったしさ迎えに来たんだよ」
「……え、母校!? 庵さんここの卒業生なの?」
「そうだよ。あれ知らなかったっけ」
知らないし、ここの学校通ってたなんて。私は普通に料理教室のパン屋開業コースとかかなって思ったのに……。
「俺は最初、この専門学校が一般向けに開校してる料理教室のパンコースだったけど、楽しくて専門学校に社会人枠で入ったんだよ」
「知らなかった……」
私が驚きのあまり固まっていると「彩愛! 彼氏ってプロの方だったの!?」と友達が肩を揺らした。



