パン職人の店長を、好きになりました。



「仲良しね〜ふふ、まるで夫婦みたい」

「へっ!? そ、そ、そんなことっ」

「彩ちゃんは可愛いわね、ね? 店長」

「俺もそう思います、可愛いです」


 庵さんまで何を言ってるんですか……。これが大人の余裕ってやつですか。


「あらあら、惚気ちゃって……若いっていいわね!」


 庵さんが紙袋を渡すと「また来るわ〜」と言って帰っていった。


「庵さんっなんであんなこと言うんですか〜〜!?」

「ん? 可愛いんだから本当のことを言ったまでだよ」


 この人は私をいつもドキドキさせる。心臓が何個あっても足りないくらい。仕事中なのに……。


「お客さんあまりいないし、休憩しておいで」

「いいんですか?」

「うん、俺は店番してるから……それとも俺と離れるの嫌なの?」

「私っ休憩してきますっ」


 そして─︎─︎……そんな穏やかな毎日が過ぎていき、今は高校三年の冬を迎えた。