ヒューヒューと冷たい風が吹く朝。

「寒っ」

マフラーをぐるぐるに巻いて今日も佐藤さん家の前で待っていた。

あぁー…なんか?だるい?かもしれない。

昨日ご飯を食べた後、トランプやら人狼やら何やらで遊び過ぎて2人が帰ったあとは疲れてコタツで寝ちゃったんだよね…、それがいけなかったかなぁー。

「めいちゃん、おはよう」

「あ、優志!おはよう…、今日寒いね!」

「うん、寒い…めいちゃんっ」

「ん?」

今日は優志が何か言いかけたところでいつものルーティーン。

「「どっちが背高いと思う!?」」

「…いや、それ昨日聞いたし。デジャブか」

もうツッコむ気にもなれなくて、かじかむ手をコートのポケットに入れる。ホッカイロ持って来ればよかった。

「だって大志ずりぃーんだぜ!髪盛ってやがんの!」

「セットしただけだろ!」

私はこの会話をあと1億回は聞かなければならない気がする。

はぁっと白い息を吐いた。

「優志、織華ねぇーちゃんは?」

「今日用事があるから先行くって」

「そうなんだ、じゃあ今日は私が優志の車道側歩くね!」

「それは歩かなくていいよ」

重い体は寒さのせいだ、そう言い聞かせて歩き出した。
優志の中学は私たちの高校と同じ方向にある、だからこうしていつも途中まで一緒に行くんだ。

「「おい!芽衣聞いてるか!?」」

「聞いてない!早く学校行くよ!」