2人に手を振って家に入った。

しんっとした冷たい空気が流れた家の中は薄暗くて、急いで電気を点けた。

佐藤さん家は大志と奏志、優志に織華ねぇーちゃん。それとまだその上にお姉ちゃんとお兄ちゃんがいて、お母さんはいないけど、おじいちゃんおばあちゃんがいる大家族。たまに楽しそうな笑い声が聞こえる。

「はぁ…」

バタンッと、制服のままソファーに寝そべった。

きっとお兄ちゃんが帰って来るのは深夜過ぎ、私が起きてる間に帰って来ることはほとんどない。

なんとなくテレビをつける気にもなれなくて少しだけ瞳を閉じた。

1人の夜は嫌い。

静かで、寒くて、真っ暗な空に押し潰されそうになる。



寂しくて。



佐藤さん家は大好きだけど、そう思った時にすごく辛くなるから。

「もうお風呂入って寝ようかな…」

肉まん食べてそれなりに満たされたし、早く明日の朝になるように布団に入ろうかな。朝になればまた明るい気持ちも帰って来るし。

ピンポーン、とチャイムが鳴った。

ん、誰か来た?

なんて思う暇もなく次のピンポンが鳴る。

ピンポンピンポンピンポンピンポン…っ

「~っ、しつこいなっ!!!」

ガバッと勢いよく起き上がる。

こんなチャイムの鳴らし方をするヤツはあいつらしか思い当たらない。

小走りで玄関へ向かった。