学校からの帰り道、朝の約束通り肉まんを買って帰る。

「わぁーいっ、肉まんおいしい♡大志のピザまんも一口ちょーだい!」

「芽衣のもちょーだいよ」

学校も同じだし、家も隣だし、そんなわけでもちろん帰りも3人並んで歩いて帰る。買ってもらった肉まんを食べながら。

「俺にもくれ」

「奏志にもらうのないもん」

「買う金なかったんだよ、お前におごったから!」

宿題を見せたお礼におごってもらった肉まんはおいしかった。

少しずつ日が暮れる街並みの中、2人の真ん中で肉まんをかじりながら歩く。白い息を吐きながら。

「大志にぃーちゃぁーん、ちょっとちょうだい♡」

「こうゆう時だけ兄貴扱いするんじゃねぇよ!離れろっ!」

「肉まんおいしいね、大志♡」

「な、芽衣♡」

5時のチャイムが鳴る。家までもうすぐだ。

「夕飯前に肉まんとかデブるぞ芽衣!」

「これが夕飯だもんっ、どーせ今日もお兄ちゃん遅いし!」

「「…………。」」

「1人だと作るものめんどくさいし、もこれでいっかなって」

最後のひとくちの肉まんを口に入れた。

「うち来ればいいじゃん。とーちゃんもいつでも来ていいって言ってたよ」

「うーん、でもそんな毎日悪いし…」

「昔は毎日来てたじぇねぇーか、そんなこと考えるほどお前に大人感じてねぇけどな」

「奏志うるさい!」

お隣さんの佐藤さん家のパパとうちのお父さんは学生時代からのお友達で、昔からあまり家にいないお父さんとお母さんの代わりにとても良くしてくれる。仕事で海外に行ってる間は本当のパパだと思っていいよって言ってくれるほど優しくて、それに甘えてよく佐藤さん家に入り浸っていた。

でもバイトを始めたお兄ちゃんはあまり行かなくなったし、私も…

「じゃあばいばい、また明日ね!」

「「じゃあな」」