佐藤さん家のふたりとわたしと。

「あぁ~~~~~~~~~!だりぃ~~~~~~~~~~!!!」

奏志が荒れている。ソファーに寝そべり足をバタバタ、そのせいで埃が舞っている。
そのソファーの下で同じように寝そべった。

あのあと例の彼女と3人で帰ることになり、“約束の1日目”を付き合わされた。

「奏志、私のコート踏んでる!てかハウスダストっ…はっくしゅんっ」

あ、やばい…
俺もくしゃみ…っ

芽衣が奏志の踏んでるコートをテーブルクロス引き並に勢いよく引っ張った。

「うわっ」

そのせいで奏志が俺の上に落ちて来た。

「いってぇな!」

くしゃみ止まったわ!

「芽衣、今日夕飯はー?」

何事もなかったかのように聞いてんなよ、まず俺の上からどけ!乗ったまま聞いてんな!

「家帰ったら用意してあるでしょ!」

「めんどくさいからここで食う」

「おい、奏志!いい加減どけよな!」

のろのろと奏志が立ち上がり、元のソファーへ座った。俺はそのままゴロゴロしていた。

「にしてもすごいね、その子!特進科の…梨々ちゃん?だっけ?」

奏志にぐちゃぐちゃにされたコートをハンガーに掛け終えた芽衣が戻って来て、リビングのカーペットの上に座った。

「なかなかそんなことできないよ!やり手だね!」

「「褒めてるんじゃねーよ」」

寝転んだまま両肘をついて、顔を芽衣の方に向けた。

「俺なんか巻き込まれただけだからね!」

「巻き込んでねぇーよ!元からお前も入ってんだよ!」

「奏志がサッカー部じゃなかったらこんなことならなかったじゃん!」

「なんだよっ、幽霊部員のお前に何がわかる!!」

「「お前…っ」」

「ねぇーーーーーーっ!!!」

ソファーの上と下、ついガッと奏志と白熱の視線を交わしてしまったとこでレフリーの合図。

「そんなことより明日クリスマスツリー出すんだ。飾るの手伝ってよ!」

「「…いいよ」」

もっと関係ない奴はお気楽だなぁー。

クリスマスツリーってなぁ、俺らはそれどころじゃないんだよそれどころじゃ…

家に帰ったらそんなこと忘れ、寝たら完全になかったことになった。むしろクリスマスツリーの飾り何つけようとか考えてた。