授業後、実は部活をやっている奏志を待っていつものように3人で帰る。

「今日部活遅かったね」

「あぁ、キャプテンがなー…」

芽衣の問いかけに神妙な面持ちで奏志が口を開いた。

「金属バットビュンビュン振り回しながら部活来るからさ、部員ビビっちゃっていつもより気合い入れちゃったっていうか…」

「え、奏志ってサッカー部じゃなかったっけ?」

ちなみになんでわざわざ部活が終わるのを待っているのかと言えば、特に意味はない。
帰ってもすることないし、その間ただ芽衣と話して遊んでお菓子食べて…家にいるのと変わらないからってだけで、あと奏志が待ってろって言うから渋々そうしてたらなんかそれが癖になっちゃっただけ。

芽衣は帰宅部だし、俺は一応テニス部だけど1回行ってそれ以来の記憶はない。俗に言う幽霊部員ってやつ。

さぁ、帰ろう!と校門を出たところに1人の女の子が立っていた。それは今日俺ら2人に告白して来た女の子だった。

「「あっ」」

ツヤツヤなロングヘアーをなびかせながらこっちに走って来る。悔しいが可愛い。

「お2人とも…っ、待ってました!」

これがちゃんとした彼女だったら最高のシチュエーションだったかもしれない。
可憐に俺らの前に現れた。

「あの…っ」

「「…………。」」

「………。」

「………?」

彼女の視線は俺たちじゃなくてじっと芽衣を見ていた。

「…あ!あぁ、あ、そうだね!私先行ってるね!」

「「芽衣っ」」

視線で訴えられた結果、空気を読んだ芽衣がその場から走り去った。