二人で和菓子を食べ終わると、会計へと向かう。

「二人一緒で」

 慣れた口調で言う秋葉。
 私は慌ててしまう。

「えっ? いいよ、バラバラで」

「いや、今日は俺の奢り。言っただろ、これはデートだって」

「えっ」

 あ、そっか。

 付き合いたてのカップルが初デートに来たっていう設定だったっけ。

 でも、悪いなあ。せめて少しだけでも――。

 だけど私がまごついている間に秋葉はさっさと支払いを済ませてしまった。

「ご、ごめんね。ありがとう」

「いいって」

 スタスタとドアに向かっていく秋葉を私は必死で追いかけた。

「ありがとうございましたー」

 すると店の前を掃除していた従業員のおばさんに声をかけられる。

「ごちそうさまです」

 ぺこりと頭を下げると、おばさんは口に手を当て意味深に笑った。

「ふふっ、あなたの彼氏いい男ね。うらやましいわぁ」

「かっ……かれ……」

 私が口をぱくぱくさせていると、秋葉が呼ぶ。

「どうしたんだ、何か忘れ物か?」

「う、ううん、今行くっ!」

 私は顔から火が出そうになりながら秋葉の元へと向かった。

 ありえない。

 イケメンでキラキラしてる秋葉とチビで地味な私が本当にカップルに見えてたなんて!